ChatGPTを広告運用の日常業務に使う|5つの場面のプロンプトと、そのまま出してはいけない線引き

ChatGPTを広告運用に使いたいが、何に使えばいいのかがわからない。広告運用者の方からよく聞く話です。試してみたものの、返ってきた広告文がどれも似ていて結局自分で書き直した、という経験もあるのではないでしょうか。使いどころを外すとそうなります。ChatGPTが速いのは案を大量に出す作業で、どれを本番に出すかを決める作業ではありません。この記事では、日常業務で実際に効く5つの場面と、そこで使うプロンプト、そして出稿前に人が確認する基準を整理します。
ChatGPTが効く場面と、効かない場面
境目は「案を出す作業」か「数字から決める作業」か
ChatGPTが最も安定して速いのは、正解が1つに決まらない作業です。キーワード候補を50個出す、見出しを10パターン作る、同じ内容を別の言い方に直す。選択肢を広げる作業では、質より先に量が効きます。人がゼロから10案考えると30分かかるところが、たたき台を出させて選ぶ形にすれば数分で済みます。捨てる前提の案が混ざっていても、選ぶのは人なので損失になりません。
逆に噛み合わないのが「この数字を見てどうすべきか決めて」という依頼です。ChatGPTは渡されたデータの中でもっともらしい説明を作りますが、その数字がどの期間・どの媒体・どの計測条件で取れたものかは知りません。同じ「コンバージョン」でも媒体ごとに数え方が違うため、集計の前提が崩れたまま結論だけが出てきます。レポート作成をどこまで任せられるかは、実際にサンプルデータで試した結果を別記事にまとめています。

日常業務で使う5つの場面とプロンプト
キーワード候補を広げる
「〇〇(サービス内容)を探している〇〇(ターゲット)が検索しそうな語を50個挙げてください。悩みの言葉・症状の言葉・比較の言葉に分けて出してください」と依頼します。分類を指定するのがコツで、指定しないと同義語の羅列になります。出てきた語は候補であって需要の証拠ではないため、検索ボリュームはキーワードプランナーで必ず確認します。実際に使うのはせいぜい数個です。
レスポンシブ検索広告の見出しを10本出す
「ターゲットは〇〇、主な訴求は〇〇です。Google広告のレスポンシブ検索広告の見出しを30字以内で10案。訴求の切り口が重複しないようにしてください」と依頼します。切り口の重複禁止を入れないと、語尾だけ違う10案が返ってきます。生成された広告文は、薬機法・景表法に触れる表現と、根拠のない最上級表現をこちらで落とします。ランディングページ側の文章を作る場合も同じ手順で、AIを使ったLPの作成と改善にまとめています。
競合の広告文から差別化の切り口を探す
検索結果に出ている競合の広告文を貼り、「この5社が共通して訴求している点と、誰も言っていない点を挙げてください」と依頼します。ここで欲しいのは差別化案そのものではなく、全社が同じことを言っている領域の特定です。空いている切り口が見つかったら、それが自社で言えることかどうかは人が判断します。
レポートの読みどころを施策案に翻訳する
ADmini(アドミニ)のAI日次レポートには、最下部に250字の総評が入ります。この総評を貼って「この内容から来週試す施策を3つ、それぞれ根拠つきで提案してください」と依頼すると、読んで終わりだった文章が具体的な作業リストに変わります。なおレポートを毎日受け取る使い方は有料プランが前提で、無料プランでは通算1回だけ試せます。総評そのものの読み方はAI総評の読み方で扱っています。提案された施策のうち、実際に予算を動かすものは自分の数字で裏を取ってから実行してください。
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経営層向けの報告文に直す
「今月のCPAは3,200円で前月比15%改善。要因は除外キーワードの追加です。この内容を広告に詳しくない経営層向けに200字でまとめてください」と、数字と要因をこちらで確定させてから渡します。ChatGPTに要因を推測させると、それらしい仮説が事実のように混ざります。材料を確定させてから文章化だけ任せるのが、報告文で事故を起こさない使い方です。
出す前に人がやる2つのこと
入力してよい情報の線引きを先に決めておく
一般向けのプランでは、入力した内容が学習に使われる可能性があります。クライアントの実売上、未公開の商品情報、個人が特定できるデータは入れないという線引きを、使い始める前に決めておいてください。判断に迷う場面が出てから考えると、締切に追われて緩みます。あわせて、AIが組み込まれた機能は提供側の都合で仕様が変わることがあります。表計算ソフトのセルに関数としてAIを組み込む機能が廃止されることになった例もあり、Excelの=COPILOT()関数の廃止のように、業務フローの一部をAI機能に依存させると、廃止時に作り直しが発生します。
場面ごとに「任せる範囲」と「確認する点」を持つ
「ChatGPTはたたき台、人が最終判断」という原則は正しいのですが、それだけでは現場で運用できません。ADmini(アドミニ)のように数字を1画面へ集めるツールと組み合わせる場合も、貼り付ける前に集計の前提を揃えておく必要があります。場面ごとに確認する点を決めておくほうが実務的です。
| 場面 | 任せる範囲 | 出す前に人が確認する点 |
|---|---|---|
| キーワード候補 | 候補の列挙 | 検索ボリュームと検索意図 |
| 広告文 | 見出しの案出し | 薬機法・景表法・最上級表現 |
| 競合分析 | 共通点と空白の抽出 | 自社が本当に言えることか |
| 施策案 | 案の具体化 | 自分の数字で裏が取れるか |
| 報告文 | 文章化のみ | 数字と要因を先に確定させたか |

まとめ
ChatGPTが速いのは、キーワード候補・広告文・競合分析・施策案・報告文という、案を出して人が選ぶ形にできる5つの場面です。数字から結論を出させる使い方だけは噛み合いません。入力してよい情報の線引きを先に決め、場面ごとに確認する点を持っておけば、たたき台の質が多少低くても事故にはなりません。まず今週やることは、いま手作業で10案考えている作業を1つ選び、そこだけプロンプトに置き換えてみることです。全部を一度に移そうとすると、確認の手間で元より遅くなります。
広告文の案を100本出したものの、どれを入稿するか決められずに週をまたいだ、という話を聞いたことがあります。案が足りなかったのではなく、選ぶ基準を先に決めていなかったのが原因でした。生成の速さは、判断の速さを連れてきません。
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よくある質問
ChatGPTは広告運用のどの作業に使えますか?
案を大量に出して人が選ぶ形にできる作業に向いています。具体的にはキーワード候補の洗い出し、レスポンシブ検索広告の見出しの案出し、競合広告文からの切り口抽出、施策案の具体化、報告文の文章化の5つです。逆に、自分のアカウントの数字から結論を出させる使い方は、集計の前提が伝わらないため噛み合いません。
ChatGPTが作った広告文はそのまま入稿してよいですか?
そのままの入稿は避けてください。薬機法・景表法に触れる表現と、根拠のない最上級表現が混ざることがあります。また訴求の切り口が重複した案が返ってくるため、プロンプトで「切り口を重複させない」と指定したうえで、入稿前に表現を人が確認する運用にしてください。
クライアントのデータをChatGPTに入力しても大丈夫ですか?
一般向けのプランでは入力内容が学習に使われる可能性があるため、実売上・未公開の商品情報・個人が特定できるデータは入れない線引きを先に決めておいてください。数字を渡す必要がある場合は、指標名と増減率だけに加工してから渡すと、判断の材料を保ったまま入力範囲を狭められます。
ChatGPTに広告レポートの分析まで任せられますか?
集計済みの数字を文章にする作業は任せられますが、どの期間・どの媒体・どの計測条件のデータかを判断する部分は任せられません。媒体ごとに「コンバージョン」の数え方が違うため、前提が崩れたまま結論だけが出てきます。数字と要因を人が確定させてから、文章化だけを依頼する使い方が安全です。
