ポートフォリオ入札戦略とは|Google広告・LINEヤフー広告で複数キャンペーンをまとめてよい条件と、指名を混ぜると起きること

ポートフォリオ入札戦略とは|Google広告・LINEヤフー広告で複数キャンペーンをまとめてよい条件と、指名を混ぜると起きること

キャンペーンごとに目標CPAを入れ直す作業が増えてくると、「ポートフォリオ入札戦略にまとめれば楽になるし、学習も早く進む」と考えたくなります。半分は正しい見立てです。ただ、まとめ方を誤ると、管理画面のCPAは目標どおりなのに、利益の出ないクリックへ広告費が流れ続ける状態が起きます。原因は、ポートフォリオが守る目標が「キャンペーンごと」ではなく「まとめた全体の平均」である点にあります。Google広告とLINEヤフー広告で使える範囲を整理したうえで、まとめてよい条件とまとめてはいけない組み合わせを、数字の例で切り分けます。

ポートフォリオ入札戦略とは:複数のキャンペーンを1つの目標で入札する仕組み

キャンペーン単位の自動入札との違いは「目標を守る単位」

ポートフォリオ入札戦略は、複数のキャンペーンを1つの入札戦略にまとめ、まとめた全体で目標を達成するように入札する仕組みです。キャンペーン単位の自動入札は、それぞれのキャンペーンの中で目標CPAに近づけようとします。ポートフォリオは全体の合計で目標に近づけるため、成果の出やすいキャンペーンに配信を寄せ、出にくいキャンペーンを絞るという配分の調整が、入札の中で起きます。

Google広告では管理画面の「ツール」メニューにある「入札戦略」から作成し(作った戦略は共有ライブラリに保存されます)、使う側のキャンペーンでその戦略を選びます。目標値を変えるときは戦略を1か所直せば、まとめたキャンペーンすべてに反映されます。キャンペーンが10本を超えるアカウントでは、目標の入れ直しと入れ忘れがなくなるだけでも小さくない効果です。

なお、ポートフォリオが共有するのは入札の目標で、予算ではありません。Google広告で予算をキャンペーン間で融通するのは「共有予算」という別の設定です。

Google広告とLINEヤフー広告で使える範囲

ポートフォリオ入札はGoogle広告にもLINEヤフー広告にもあり、LINEヤフー広告では検索広告とディスプレイ広告(運用型)の両方で使えます。違うのは呼び名と使えない場面で、公式ヘルプとお知らせで確認できる範囲を並べると次のとおりです。

項目 Google広告 LINEヤフー広告
呼び名 ポートフォリオ入札戦略 検索広告:ポートフォリオ入札設定/ディスプレイ広告(運用型):ポートフォリオ入札
まとめる単位 キャンペーン・広告グループ・キーワード アカウント単位で作った入札戦略を複数のキャンペーンに設定
使える戦略・使えない場面 コンバージョン数の最大化・コンバージョン値の最大化・目標広告費用対効果・目標コンバージョン単価・クリック数の最大化・目標インプレッションシェア。P-MAXでは使えない ディスプレイ広告はキャンペーン目的「アプリ訴求」で使えない。自動運用ルールやA/Bテストなどとの併用に制限あり
予算との関係 予算は共有しない(共有予算は別の設定) ディスプレイ広告は「キャンペーン間の共有予算」と組み合わせられる

LINEヤフー広告のディスプレイ広告(運用型)でポートフォリオ入札が使えるようになったのは2025年10月14日で、配信初期でも運用が安定しやすいことが利点として挙げられています。Google広告の情報だけで判断すると、LINEヤフー側でまとめられる場面を見落とします。

ポートフォリオにまとめると得をする2つの状況

1キャンペーンあたりのコンバージョンが少なく、自動入札の学習が進まない

キャンペーンごとのコンバージョンが少ないときは、まとめて学習に使えるデータを増やす目的で効きます。LINEヤフー広告は検索広告の自動入札の目安として、目標CPAとコンバージョン数の最大化で30日間に30件以上、目標ROASで50件以上を示しています。月10件ずつのキャンペーンが3本あれば、単独ではどれも目安に届きませんが、まとめれば30件になります。

ただし「ポートフォリオにすればコンバージョン不足が解決する」わけではありません。合計しても月10件に満たないアカウントでは、まとめても入札は安定しにくく、クリック数の最大化のような目標値を持たない戦略から始める方が無理がありません。まとめる効果があるのは、合計すれば目安に届くが、分けると届かないという中間の規模です。

目標CPAに上限クリック単価を付けたい、目標を一括で変えたい

Google広告で目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果に入札単価の上限を付けたい場合は、ポートフォリオにするのが手段になります。キャンペーン単位の設定には上限の欄がなく、ポートフォリオ側の詳細設定でだけ上限と下限を入れられるためです。競合が増えてクリック単価が跳ねた週に、1クリックに払う額へ天井を置いておきたいという相談は、広告運用者の方からよく受けます。

とはいえ、上限は自動入札の調整幅を狭めます。Googleも上限の設定は推奨しておらず、低すぎる上限は目標CPAの達成ではなく配信量の減少として表れます。上限は、限界CPAから逆算した「これ以上は1クリックに払えない額」に置くのが筋で、普段のクリック単価のすぐ上に置くと配信が細ります。Microsoft広告でも2026年10月1日から、コンバージョン数の最大化(目標CPAあり)などで新しく作るキャンペーンでは、ポートフォリオ以外で上限CPCを設定できなくなりました(Microsoft広告の上限CPC廃止で比べる数字)。上限を置きたいならポートフォリオ側で、という流れは媒体をまたいで共通です。

まとめてはいけない組み合わせと、まとめたあとの確認

指名キャンペーンを混ぜると、一般キャンペーンのCPA超過が平均に隠れる

いちばん起きやすい失敗は、社名や商品名で検索される指名キャンペーンと、一般キーワードのキャンペーンを同じポートフォリオに入れることです。指名は少ない費用でコンバージョンが取れるため、全体の平均を大きく引き下げます。ポートフォリオはその余裕を使い、一般キャンペーンへ目標より高いCPAで配信を寄せても、全体の目標を守れてしまいます。

再現用のサンプルデータ(架空の数字)として、目標CPA5,000円のポートフォリオに、指名(費用10万円・CV50件・CPA2,000円)と一般(費用40万円・CV50件・CPA8,000円)を入れたとします。合計は費用50万円・CV100件で、全体のCPAは5,000円ちょうどで目標どおりです。しかし商品の粗利から出した限界CPAが6,000円なら、一般キャンペーンは1件取るたびに2,000円の赤字です。指名の50件は広告がなくても自然検索から来たかもしれない流入で、平均の目標が守られているという報告は実態とずれています。

指名と一般は、ポートフォリオを分けるか、指名をキャンペーン単位の入札に残します。利益の出ないCVが平均に紛れる構造は指名に限らず、CPAの水準が大きく違うキャンペーン同士を混ぜれば同じように起きます。

ポートフォリオ入札戦略とは|Google広告・LINEヤフー広告で複数キャンペーンをまとめてよい条件と、指名を混ぜると起きること

コンバージョンの中身や価値が違うキャンペーンも分ける

もう一つの条件は、まとめるキャンペーンでコンバージョンの意味がそろっていることです。資料請求と無料登録のように1件の価値が違うCVを同じ目標CPAでまとめると、取りやすい方のCVに配信が寄ります。合計件数は増えて見えても、商談につながる方の件数は減っている、という結果になりやすい構造です。価値の違うCVを1つの戦略で扱いたいなら、コンバージョン値を設定し、目標広告費用対効果やコンバージョン値の最大化でまとめる方が意図に合います。

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まとめたあとは、戦略の合計ではなくキャンペーン別のCPAを見る

ポートフォリオに入れたあとの確認は、キャンペーンごとのCPAを限界CPAと比べることが中心になります。戦略の合計が目標どおりでも、前の例のように中身が偏っていることがあるためです。Google広告の入札戦略レポートは目標との比較を戦略単位で見せてくれますが、キャンペーン別の内訳を限界CPAと並べ、さらにLINEヤフー広告の分と合わせて見るには、キャンペーン単位の表を別に用意することになります。

ADmini(アドミニ)では、Google広告とLINEヤフー広告をつなぐと、キャンペーン単位の費用とコンバージョンが1日1回の自動更新で1つの表にそろい、ピボット集計で媒体をまたいだキャンペーン別CPAを並べられます。コンバージョン数のカラムにしきい値カラーを設定すれば、学習の目安に届かない件数のキャンペーンのセルが赤く表示されます。一方で、連携で取り込める単位はキャンペーン・広告グループ・広告・キーワード・検索語句で、ポートフォリオ名は含まれないという限界があります。同じポートフォリオのキャンペーンを見分けるには、キャンペーン名に共通の接頭辞を付けておくのが確実です(付け方は広告の命名規則をダメな実例から直す添削で扱っています)。

ポートフォリオ入札戦略とは|Google広告・LINEヤフー広告で複数キャンペーンをまとめてよい条件と、指名を混ぜると起きること

まとめ

ポートフォリオ入札戦略は、複数のキャンペーンを1つの目標で入札させ、目標の管理を1か所に集める仕組みです。効くのは、キャンペーンごとのCVが少なく学習が進まないときと、目標CPAに上限クリック単価を付けたいときです。反対に、指名と一般、価値の違うCVを混ぜると、平均の目標が守られたまま赤字のキャンペーンが隠れます。冒頭の「まとめれば楽になる」は、まとめる中身をそろえた場合にだけ成り立ちます。

では、ポートフォリオにしても変わらないものは何でしょうか。どのキャンペーンを同じ目標で扱ってよいかの線引きと、限界CPAという天井は、入札をどれだけ自動にしても人が決めるしかありません。ADmini(アドミニ)が担えるのは、その判断の材料になるキャンペーン別の数字を、媒体をまたいで毎日そろえておくところまでです。

まず今週やること:ポートフォリオを使っているなら、まとめているキャンペーンを書き出し、キャンペーンごとのCPAを限界CPAと並べてください。指名キャンペーンが混ざっていて、一般キャンペーンだけが限界CPAを超えていれば、分けるのが先です。

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よくある質問

ポートフォリオ入札戦略とは何ですか?

複数のキャンペーン(Google広告では広告グループやキーワードも)を1つの入札戦略にまとめ、全体で目標CPAや目標ROASを達成するよう入札を自動で調整する仕組みです。目標を守る単位が個々のキャンペーンではなく全体の平均になるため、キャンペーンごとのCPAは目標から上下に外れます。目標値の変更を1か所で済ませられる利点もあります。

Yahoo!広告(LINEヤフー広告)でもポートフォリオ入札は使えますか?

使えます。LINEヤフー広告の検索広告には、アカウント単位で入札戦略を作って複数のキャンペーンに設定するポートフォリオ入札設定があり、ディスプレイ広告(運用型)でも2025年10月14日から使えます。ディスプレイ広告ではキャンペーン目的「アプリ訴求」で使えず、自動運用ルールやA/Bテストなどとの併用にも制限があります。

ポートフォリオ入札戦略で上限クリック単価(上限CPC)は設定できますか?

Google広告では、目標コンバージョン単価や目標広告費用対効果の戦略をポートフォリオにした場合に、入札単価の上限と下限を設定できます。キャンペーン単位の設定には上限の欄がありません。ただし上限は自動入札の調整幅を狭め、低すぎると配信量が落ちるため、限界CPAから逆算した額に置くのが目安です。

ポートフォリオに入れない方がよいキャンペーンはありますか?

指名キャンペーンと一般キーワードのキャンペーンを同じポートフォリオに入れるのは避けます。CPAの低い指名が全体の平均を下げ、一般キャンペーンが目標より高いCPAで配信されても全体の目標が守られてしまうためです。資料請求と無料登録のように価値の違うコンバージョンを同じ目標CPAでまとめることも、取りやすいCVへ配信が偏る原因になります。