サードパーティCookieの廃止は撤回された、では計測は元に戻ったのか|2026年の断片化の実態と、CAPI・ファーストパーティデータの優先順位

「Cookieの廃止は撤回されたので、計測の話はもう終わった」。2024年の発表以降、広告運用者の方からこの整理をよく聞くようになりました。撤回されたのは事実です。Chromeでは今もサードパーティCookieが使えます。ただ、撤回の1年後に起きたのはもう一つの出来事で、代替として用意されていた技術のほうが先に畳まれました。廃止は止まり、代替も消えた。残ったのは、ブラウザごとに計測できたりできなかったりする、まだら模様の状態です。この記事では、2026年時点で何が生きていて何が終わったのかを確認し、断片化が数字のどこに出るか、対策をどの順で打つかを整理します。
撤回のあとに何が残り、何が消えたのか
Chromeの廃止計画は撤回され、Privacy Sandboxのほうが先に終わった
Googleは2024年7月、ChromeでのサードパーティCookie一律廃止の計画を撤回しました。ここまでは広く知られているとおりです。その後2025年10月21日に、Googleは Privacy Sandbox の主要APIの提供終了を発表しました。対象にはTopics API・Protected Audience API・Attribution Reporting APIが含まれ、これらは2026年1月6日公開のChrome 143と2月3日公開のChrome 144で実際にブラウザから削除されています。終了の理由として説明されたのは、仕組みが複雑すぎたことと、SafariやFirefoxの合意を得られなかったことでした。Cookieに代わる共通の計測基盤を業界で用意する、という筋書きのほうが先に消えたことになります。撤回を「元に戻った」と読むと、この一年の動きを取り落とします。
SafariとFirefoxは2020年からブロックしている
そもそもChromeの方針は、ブラウザ全体の一部にすぎません。AppleのSafariは2020年3月からサードパーティCookieをデフォルトでブロックしており、MozillaのFirefoxもトラッキング目的の利用を制限しています。つまり「Chromeで廃止されなかったから計測は無事」という整理は、Safari経由のユーザーを勘定に入れていません。日本はiPhoneの利用率が高く、Safariの比率は他国より大きく出ます。ブラウザによって計測できる範囲が違う状態は、廃止計画より前からすでに常態でした。撤回で変わったのは、その状態がこの先も続くことが決まった点です。
| ブラウザ | サードパーティCookieの扱い | 広告計測への影響 |
|---|---|---|
| Chrome | 利用可能(2024年7月に一律廃止を撤回) | 従来どおり。ただしPrivacy Sandboxの代替APIは2026年に削除済み |
| Safari | 2020年3月からデフォルトでブロック | Cookieベースのコンバージョン計測・リマーケティングが機能しない |
| Firefox | トラッキング目的の利用を制限 | 同上(制限の範囲はChromeとSafariの中間) |
断片化は、どの数字に出るのか
管理画面のコンバージョン数が、実際より少なく出る
最初に現れるのは、媒体の管理画面に載るコンバージョン数の目減りです。Cookieが読めないブラウザでは、広告クリックとその後の申し込みを同一人物として結びつけられないため、その分が計上されません。数字が減っているのは成果が減ったからではなく、紐づけに失敗しているからという場合があります。やっかいなのは、この目減りが媒体ごとに違う幅で起きることです。自動入札はこの過少計上された成果を正解として学習するため、Safari経由の反応が良い商材ほど、入札が本来より控えめに振れます。数字が合わないときは、まずプライバシー規制側の要因を疑う段を挟むと、原因の切り分けが早くなります。
リマーケティングの母集団が縮み、フリークエンシーが偏る
次に出るのがリターゲティングです。サイト訪問者を識別できなければリストに乗らないため、母集団はブラウザ構成に応じて縮みます。同じ予算で同じリストに配信し続ければ、識別できている一部のユーザーへ接触が集中します。管理画面の平均フリークエンシーは穏やかに見えても、実際には特定層だけが何度も同じ広告を見ている状態になりやすい。ここも「配信設定を変えていないのに効率が落ちた」と読み違えやすい場所です。異なる要因が同じ症状として出るため、計測の欠落と、クリエイティブの疲弊と、需要そのものの変動は分けて見る必要があります。

計測の欠落を疑うには、まず日ごとの推移が手元にある必要があります。ADmini(アドミニ)を使うと、接続した媒体の数字が1画面にそろい、媒体別のコンバージョン数を日次で並べて追えます。ある日を境に特定の媒体だけ計上が落ちたのか、全体が同じ傾きで動いたのか——この違いは、月次のまとめ数字を見比べているうちは見えません。ADminiなら無料で始められます。無料で試してみる →
対策は、どの順で打つか
①サーバーサイド計測(CAPI・拡張コンバージョン)を先に入れる
優先順位の1番目はサーバーサイドでの送信です。Google広告の拡張コンバージョンやMeta広告のコンバージョンAPIは、ブラウザのCookieを経由せず、自社サーバーから媒体へ直接コンバージョンを送ります。Cookieがブロックされた環境でも紐づけが成立する余地が残るため、まず埋めるべき穴はここになります。ただしサーバーサイド計測はCookie計測の完全な代替ではありません。送信できるのは自社が保有している情報の範囲に限られ、同意を得ていないデータは送れません。実装はタグマネージャ経由が扱いやすく、送信後は媒体側のコンバージョン数とサイト側の申込件数を数日並べて、増分が出ているかを確認してから本運用に移します。
②ファーストパーティデータの土台を作る
2番目は自社で持つデータです。会員登録・購入・問い合わせのように、ユーザーが自ら情報を渡した接点を整理し、媒体へ渡せる形に揃えておく。サーバーサイド計測もカスタマーマッチのような配信も、渡す元のデータがなければ成立しないため、順番としては計測の実装と並走させる位置づけになります。ファーストパーティデータの活用は、Cookie規制への対処であると同時に、媒体をまたいで同じ顧客を見るための共通言語でもあります。3番目として、クリック単位で追えない部分を広告費と売上の推移から統計的に推定するアプローチもありますが、これは月単位でまとまったデータが貯まってから検討する段です。計測できない部分をゼロと見なさない、という姿勢のほうが先に要ります。

まとめ
2026年の状況を一行にすると、Chromeの廃止計画は撤回された一方で、代替として用意されていたPrivacy Sandboxの主要APIは2025年10月に終了を発表され、Chrome 143・144で削除されました。SafariとFirefoxは以前からブロックを続けています。つまり「廃止撤回=計測環境の回復」ではなく、ブラウザごとに見える範囲が違う状態が定着したと読むのが実態に近い。対策の順序は、①サーバーサイド計測を入れて紐づけの穴を減らす、②自社で持つデータを整える、③クリックで追えない部分は推定で補う、の3段です。まず今週やることを1つ挙げるなら、媒体の管理画面のコンバージョン数と、サイト側で数えた実際の申込件数を、直近30日で並べてみてください。差がどれくらいあるかを一度数字で見ておくと、次に打つ手がCAPIなのかデータ整備なのかを、体感ではなく差分で選べます。先に言っておくと、この領域で「これを入れれば全部見えるようになる」道具は存在しません。ブラウザが渡さないと決めたデータは、どのツールを挟んでも復元されないからです。ADmini(アドミニ)にできるのも、媒体ごとにばらついた数字を同じ画面に並べて、ズレが出た日を見つけやすくすることまでです。その上で、見えない部分をどれくらいの幅で見積もるかを決める。ここから先は道具ではなく、商材と客層を知っている人の仕事になります。ADminiなら無料で始められます。無料で試してみる →
よくある質問
サードパーティCookieは廃止されたのですか?
いいえ。Googleは2024年7月にChromeでの一律廃止計画を撤回し、2026年現在もChromeではサードパーティCookieを利用できます。ただしAppleのSafariは2020年3月からデフォルトでブロックしており、MozillaのFirefoxもトラッキング目的の利用を制限しています。ブラウザによって計測できる範囲が違う状態は、廃止計画とは無関係に続いています。
代替として用意されていたPrivacy Sandboxはどうなりましたか?
2025年10月21日に主要APIの提供終了が発表され、Topics API・Protected Audience API・Attribution Reporting APIなどは2026年1月6日公開のChrome 143と2月3日公開のChrome 144で削除されました。終了の理由としては、仕組みが複雑だったことと、SafariやFirefoxの合意を得られなかったことが挙げられています。廃止計画は止まりましたが、業界共通の代替基盤も残らなかった、という結果になります。
CAPI(コンバージョンAPI)を入れれば計測は元どおりになりますか?
完全には戻りません。CAPIはブラウザのCookieを経由せず自社サーバーから媒体へコンバージョンを送る仕組みで、Cookieがブロックされた環境でも紐づけが成立する余地を残せます。ただし送信できるのは自社が保有している情報の範囲に限られ、同意を得ていないデータは送れません。「穴をふさぐ」というより「穴を小さくする」対策として位置づけてください。
管理画面のコンバージョン数が減ったとき、計測の問題かどうかはどう見分けますか?
媒体の管理画面のコンバージョン数と、サイト側で数えた実際の申込・購入件数を、同じ期間で並べて差を見ます。実件数が横ばいなのに管理画面だけ減っているなら、紐づけの失敗が疑われます。両方が同じ幅で減っているなら、計測ではなく配信や需要側の要因です。媒体ごとに減り方が違うかどうかも、切り分けの手がかりになります。

