広告のブランドリフト効果測定は誰が使えるのか|認知広告・YouTube動画広告の最低予算と、届かない規模での代替手段

YouTube広告やディスプレイ広告を配信しているが、直接のコンバージョンにつながらないため効果を説明できない。広告運用者の方から、この相談をよく受けます。解決策としてブランドリフト調査を挙げる記事は多く、「月100万円の予算があれば使える」と書かれていることもあります。ところが実際に申し込もうとすると、条件が合わずに設定できない。ブランドリフト調査は、多くの中小規模のアカウントでは最初から選択肢に入らないのが実情です。この記事では、実施条件を公式の基準で確認したうえで、条件に届かない規模で認知広告の効果をどう見るかを扱います。
ブランドリフト調査は「使える人」が限られている
測っているのは態度の変化であって、購入ではない
ブランドリフト調査が測るのは、広告を見た人の態度が変わったかどうかです。購入やコンバージョンの増加を測る仕組みではありません。
具体的には、広告が配信されたグループと配信されなかったグループに同じアンケートを出し、回答の差を見ます。広告想起・認知度・購買意向といった設問への回答率が、配信グループのほうがどれだけ高いか。この差が「リフト」です。差分そのものを絶対リフト値、対照グループの回答率を基準にした上昇率を相対リフト値と呼びます。
ここを取り違えると、調査結果の読み方を間違えます。広告想起が5ポイント上がったという結果は、売上が5%増えたという意味ではありません。態度の変化と購買の増加をつなぐ部分は、調査には含まれていない。認知広告の投資判断に使うには、この結果と実際の売上推移を自分で並べる作業が別途必要になります。
最低予算は「月100万円」では届かない
Google広告のブランドリフト調査には、調査開始から10日間で消化しなければならない最低予算が設定されています。金額は国の区分と、測定する設問の数で変わります。
公式のヘルプで示されている基準は下表のとおりです。統計的な信頼度を上げるEnhanced Liftを選ぶと、この3倍が必要になります。日本がどの区分に当たるかは公式ヘルプに明示されていないため、設定画面で自分のアカウントの要件を確認する必要があります。上位の区分だった場合、設問1つでも10日間で15,000米ドル、1ドル135円換算で200万円を超える計算になります。
| 設問数 | 10日間の最低消化額(国の区分により変動) |
|---|---|
| 1問 | 5,000/10,000/15,000 米ドル |
| 2問 | 10,000/20,000/30,000 米ドル |
| 3問 | 20,000/60,000/60,000 米ドル |
10日間でこの金額という条件なので、月間予算に均すとさらに大きくなります。「月100万円以上で使える」という説明が広まっていますが、最も安い区分の設問1つでも10日間で5,000米ドルなので、公式の基準に照らすと桁が足りません。ここは事前に確認しておかないと、キャンペーン設計を組み終えてから設定できないことに気づきます。

媒体ごとの実施条件を確認する
Google広告は動画・音声・デマンドジェネレーションが対象
対象となるキャンペーンタイプは、動画キャンペーン・音声キャンペーン・デマンドジェネレーションキャンペーンの3つです。ディスプレイキャンペーンは含まれません。
デマンドジェネレーションキャンペーンで実施する場合は、YouTubeの動画広告を主体に設計する必要があります。GmailやDiscoverなど他の面での配信は測定に反映されないため、配信面が分散していると予算を消化しても結果が薄くなります。また、一時停止中のキャンペーンや開始日が先のキャンペーンは、実際に配信が始まるまで予算要件にカウントされません。調査期間の設計は、配信スケジュールとあわせて組む必要があります。
Meta広告のブランドリフトスタディ
Meta広告にも同種の仕組みがあり、広告マネージャーからキャンペーン単位で設定します。考え方はGoogleと同じで、テスト群と対照群にアンケートを出し、ブランド認知や広告想起の差を見ます。
こちらも実施には一定の予算規模が必要で、条件は営業担当を通じて案内される場合があります。共通しているのは、媒体ごとに独立した調査になるという点です。Googleで測ったリフトとMetaで測ったリフトは、対照群の作り方も設問も別々なので、そのまま足したり比較したりはできません。媒体をまたいだ認知の合計は、リフト調査からは出てこないという限界があります。
予算が届かないときに何を見るか
指名検索と直接流入の推移を代理指標にする
調査を実施できない規模では、認知広告の効果を代理指標で追います。もっとも扱いやすいのは、指名検索の数と直接流入の推移です。
認知広告が効いていれば、ブランド名や商品名での検索が増えます。サーチコンソールで指名クエリの表示回数とクリック数を週次で記録し、認知広告の配信量と並べる。ここで見るのは相関であって因果ではないので、断定はできません。ただ、配信を強めた週の翌週から指名検索が伸びる動きが数回繰り返されれば、投資判断の材料としては十分に使えます。
「指名検索が増えたのは広告の効果だ」と言い切れるわけではありません。季節要因や他施策の影響も同じ時期に乗ります。それでも、何も見ないよりは意思決定の精度が上がります。
配信を止めた期間との比較で当たりをつける
もう一段確かめたい場合は、認知広告の配信を2週間止めて、その間の指名検索と全体のコンバージョン数を見ます。停止と再開を1回ずつ行うだけで、相関の見え方はかなり変わります。
規模感を伴う架空事例として、月商1,000万円規模のEC事業者を考えます。YouTube広告を2週間止めたところ、指名検索の表示回数が目に見えて落ち、検索広告のコンバージョン単価が上がった。こうした動き方をするアカウントでは、認知広告を止めると下流の刈り取り広告のコストが上がっていることになります。この連動が観測できれば、認知広告の予算を「効果が見えないから削る対象」として扱わずに済みます。ただし停止の期間中は機会損失が発生するため、繁忙期を避けて実施する判断が要ります。

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媒体別の貢献度を統計的に推定する方法としては、MMM(どの媒体に広告費を寄せるべきかがわかる分析)という選択肢もあります。ADmini(アドミニ)ではAIレポートの中のセクションとして提供しており、継続して使う場合はPlus以上のプランが必要です。無料プランでも一度は生成して結果を確認できます。
まとめ
ブランドリフト調査は、態度の変化を測る仕組みであって購買の増加を測るものではありません。Google広告では動画・音声・デマンドジェネレーションの3タイプが対象で、10日間の最低消化額は設問1つでも5,000〜15,000米ドル。月100万円規模の予算では届きません。媒体ごとに独立した調査になるため、媒体をまたいだ合計も出せません。
予算が届かない場合は、指名検索と直接流入の推移を代理指標として週次で記録し、必要なら配信を止めた期間と比べます。相関でしかないと理解したうえで使えば、認知広告を「効果が見えないから削る」という判断に流されずに済みます。数字の並べ方は媒体別・キャンペーン別に分解するROAS改善の手順と同じ考え方です。
まず今週やることを1つ。サーチコンソールで自社名・商品名を含むクエリの表示回数を、直近12週分だけ書き出してください。認知広告の月別配信額と並べるだけで、見えていなかった連動があるかどうかの当たりがつきます。
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よくある質問
ブランドリフト調査では何がわかりますか
広告が配信されたグループと配信されなかったグループにアンケートを出し、広告想起・認知度・購買意向といった回答率の差を測ります。差分そのものを絶対リフト値、対照グループを基準にした上昇率を相対リフト値と呼びます。測っているのは態度の変化であり、売上やコンバージョンの増加ではありません。投資判断に使うには、調査結果と実際の売上推移を自分で並べる作業が別に必要です。
ブランドリフト調査の最低予算はいくらですか
Google広告では調査開始から10日間で消化する最低予算が決まっており、国の区分と設問数で変わります。公式の基準では設問1つで10日間に5,000〜15,000米ドル、設問2つで10,000〜30,000米ドル、設問3つで20,000〜60,000米ドルです。信頼度を上げるEnhanced Liftはこの3倍が必要になります。日本がどの区分に当たるかは公式ヘルプに明示されていないため設定画面での確認が必要ですが、最も安い区分でも10日間で5,000米ドルなので、月100万円程度の予算では条件に届きません。
ディスプレイ広告でもブランドリフト調査はできますか
Google広告で対象になるのは動画キャンペーン・音声キャンペーン・デマンドジェネレーションキャンペーンの3つで、ディスプレイキャンペーンは含まれません。デマンドジェネレーションで実施する場合もYouTubeの動画広告を主体に設計する必要があり、GmailやDiscoverでの配信は測定に反映されません。
予算が足りない場合、認知広告の効果はどう測ればいいですか
指名検索と直接流入の推移を代理指標として使います。サーチコンソールでブランド名・商品名を含むクエリの表示回数とクリック数を週次で記録し、認知広告の配信量と並べてください。さらに確かめたい場合は認知広告を2週間止め、その間の指名検索と検索広告のコンバージョン単価の動きを見ます。相関であって因果ではない点は踏まえたうえで、投資判断の材料として使えます。

