Google広告のキーワードプランナーの使い方|検索ボリュームと競合性を「出稿してよいか」の判断へ翻訳する

検索ボリュームが月1万、競合性は「中」。悪くない数字に見えたので出稿したら、1か月後のCPAが目標の倍だった。キーワードプランナーを使い始めた運用者の方から、こうした相談をよく受けます。ツールの使い方を間違えたわけではありません。キーワードプランナーが返すのは予測であって、実績ではないからです。世の中の解説の多くは記事のネタ探し、つまりSEO目的の使い方に寄っていて、広告運用で必要な「この語に出稿してよいか」の判断までは降りてきません。ここでは、画面に出る3つの数字を、出稿の可否と予算規模の見積もりへ翻訳する手順をたどります。
画面に出る数字は、どこまで信じてよいのか
検索ボリュームは類似語をまとめた月平均で、完全一致の実数ではない
キーワードプランナーの「月間平均検索ボリューム」は、その語の完全一致の検索回数ではありません。表記ゆれや近い意味の語をまとめた数字で、しかも直近12か月の平均です。単数形と複数形、送り仮名違い、ひらがなとカタカナの表記差が同じ行に丸められて表示されます。
この性質は、実際にどのくらい配信できるかを見積もるときに効いてきます。月1万と表示された語に完全一致で出稿しても、取れる表示回数はその一部にしかなりません。取りに行く範囲を決めているのは、ボリュームの数字ではなくマッチタイプのほうです。どこまで広げるかの判断はマッチタイプの使い分けで整理したとおりで、ボリュームの数字とセットで見ないと見積もりが倍以上ずれます。
支出のないアカウントでは範囲表示になるが、それでも使える判断はある
Google広告に支出のないアカウントでは、検索ボリュームが「1,000〜1万」のような範囲でしか表示されません。実数が要るなら少額でも配信を回す、という回避策が広く知られています。
ただし、範囲表示のままでも下せる判断はあります。桁が1つ違えば、それは範囲表示でも分かるからです。候補が20語あって「1万〜10万」が2語、「100〜1,000」が15語、「10〜100」が3語という分布なら、最初に手を付ける場所は範囲表示だけで決まります。実数が要るのは入札を詰める段階で、出稿するかどうかの段階では桁で足ります。範囲表示を理由に調査を止める必要はありません。

CPCの目安を、出稿の可否へ翻訳する
許容CPCは、目標CPAと想定CVRから逆算する
「ページ上部のクリック単価(高価格帯)」に出る金額は、入札単価の答えではありません。答えを出すには、自分の側の数字と突き合わせる必要があります。計算は1行です。
許容CPC = 目標CPA × 想定CVR。目標CPAが8,000円で、遷移先のCVRが2%見込めるなら、許容CPCは160円です。ここでキーワードプランナーの高価格帯が「250円」と出ていれば、そのキーワードは現在のランディングページの実力では採算が合わないことになります。打ち手は入札を上げることではなく、CVRを上げるか、客単価の高い商材を当てるか、その語を諦めるかの3つです。
想定CVRが分からない段階では、既存キャンペーンの実績値を暫定で置きます。実績がまったくないなら、最初の1か月は判断材料を集める期間と割り切り、少額で回して実際のCVRを測るほうが早く済みます。机上の数字で悩む時間より、2週間の実測のほうが精度は高くなります。
「競合性 低」は安いという意味ではない
競合性の「高・中・低」は、その語に入札している広告主の相対的な多さを示すもので、成果が出やすいかどうかとは別の軸です。低い語は、単に誰も欲しがっていないから安いことがあります。
2つの軸で並べると、どこを取りに行くかが決まります。
| 競合性 | 検索ボリューム | 読み方と打ち手 |
|---|---|---|
| 高 | 多い | 主戦場。許容CPCを満たせるか計算してから入る |
| 低〜中 | 一定量ある | 最優先。競合が見落としている可能性が高い |
| 低 | ごく少ない | 単独では回らない。同種の語をまとめて1グループにする |
| 高 | ごく少ない | 指名・比較語であることが多い。CVRが高ければ採算が合う |
候補を絞ったあとに必ず通るのが、除外の設計です。取りに行く語を広げるほど、意図の違う検索が混ざります。除外キーワードの設定を先に用意しておくと、最初の1か月の無駄打ちが減ります。
ここまでの判断は、出稿後に実データで答え合わせをしてはじめて精度が上がります。ADmini(アドミニ)はGoogle広告をキーワード単位で取り込めるため、追加した語の表示回数・クリック数・費用を、追加前の期間と並べて確認できます。
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自動入札の時代に、この数字をどこで使うか
入札単価を決める道具から、出稿規模を見積もる道具へ
スマート入札を使っているアカウントでは、キーワードごとの入札単価を手で置きません。CPCの目安を見て単価を決める、という元々の使い方は、そこでは出番がなくなります。
それでもキーワードプランナーが要るのは、使いどころが2つ残っているからです。1つは出稿の可否、つまり許容CPCを満たせる語かどうかの事前判断。もう1つは予算規模の見積もりで、想定ボリューム × 想定CTR × 許容CPC でおおよその月額が出ます。自動入札に渡すのは単価の決定であって、どの語を渡すかの決定ではありません。渡す範囲を決める作業は運用者に残ります。
この構図は媒体側の機能が広がっても変わりません。LINEヤフー広告でキーワードを足さずに配信範囲が広がる仕組みが入ったときも、広がった先を確認して除外するかを決めるのは人の側でした。検索クエリーマッチングの確認手順と同じ考え方が、Google広告側にもそのまま当てはまります。
季節性は、入札ではなく予算計画の側で効く
月別の検索ボリュームの推移は、キーワードプランナーで確認できる情報のなかで、いまもっとも使い道が明確なものです。12月に3倍になる語があると分かれば、11月のうちに予算枠と在庫を用意しておけます。
ただし、この数字は過去12か月の実績であって来年の予測ではありません。前年に一度きりの話題があった語は、翌年に同じ山が来ないことがあります。季節性は「山が来る月の当たりをつける」ために使い、山の高さは前年の自社実績で補正する。この2段構えにしておくと、予算を張りすぎて月初に使い切る事故を避けられます。
まとめ
キーワードプランナーの数字は予測で、検索ボリュームは類似語をまとめた月平均です。この前提を置いたうえで、CPCの目安は「目標CPA × 想定CVR」で出した許容CPCと突き合わせ、出稿してよい語かを判断します。競合性は安さの指標ではなく入札の混み具合で、低〜中かつ一定のボリュームがある帯が最優先。自動入札のアカウントでは、単価を決める道具ではなく、出稿範囲と予算規模を見積もる道具として使います。
まず今週やることは、いま出稿している主要キーワード5語について、許容CPCを計算して実際のCPCと並べてみることです。目標CPAと直近のCVRが分かれば5分で出ます。許容を超えている語があれば、そこが赤字の出所です。
先に限界を言っておくと、キーワードプランナーで分かるのは需要の当たりまでで、その語から来た人が自社で買うかどうかは分かりません。判断の精度を上げるのは、出稿後に集まる自分のアカウントの数字のほうです。ADmini(アドミニ)はGoogle広告のデータをキーワード単位まで取り込めるため、追加した語が費用と成果にどう効いたかを、媒体の管理画面を開き直さずに追えます。ADminiのピボット集計で、キーワード別の前後比較を作ってみてください。ADminiなら無料で始められます。無料で試してみる →
よくある質問
キーワードプランナーの検索ボリュームは正確な数字ですか?
完全一致の実数ではありません。表記ゆれや近い意味の語をまとめた数字で、直近12か月の月平均として表示されます。単数形と複数形、ひらがなとカタカナの違いが同じ行に丸められるため、完全一致で出稿したときに取れる表示回数はこの数字より少なくなります。配信量の見積もりでは、マッチタイプとセットで読んでください。
「ページ上部のクリック単価」をそのまま入札単価にしてよいですか?
そのままでは使えません。自分の許容CPC(目標CPA × 想定CVR)と突き合わせて、出稿してよい語かを判断する材料として使います。目標CPA8,000円・想定CVR2%なら許容CPCは160円で、高価格帯が250円と出ていれば現在の遷移先の実力では採算が合いません。打ち手は入札を上げることではなく、CVRを上げるか、その語を諦めるかになります。
競合性が「低」のキーワードは狙い目ですか?
低いこと自体は狙い目の根拠になりません。競合性はその語に入札している広告主の相対的な多さを示すもので、成果の出やすさとは別の軸です。誰も欲しがっていないから安い語も「低」に入ります。優先すべきは「低〜中の競合性で、一定の検索ボリュームがある」帯で、ここは競合が見落としている可能性があります。
スマート自動入札を使っている場合でもキーワードプランナーは必要ですか?
使いどころが変わります。キーワードごとの入札単価を手で置かないため、CPC目安を単価決定に使う場面はなくなります。残るのは2つで、許容CPCを満たせる語かどうかの出稿可否の判断と、想定ボリューム × 想定CTR × 許容CPC による予算規模の見積もりです。どの語を自動入札に渡すかを決める作業は運用者に残ります。