広告のROIとは|ROASとの違いと、どちらで判断してよいかが分かれる条件

広告のROIとは|ROASとの違いと、どちらで判断してよいかが分かれる条件

ROASは300%を超えているのに、月末に残る現金が去年と変わらない。広告運用者の方から、この手の相談をよく受けます。数字が伸びているのに手応えがないとき、原因は指標の読み違いではなく、見ている指標が「売上」までしか届いていないことにあります。ROIは、その先の利益まで見るための指標です。ただし計算式の取り方ひとつで数字が倍ほど変わるため、出すこと自体より、出した数字を何の判断に使うかのほうが難しい指標でもあります。

広告のROIとは|利益を広告費で割った指標

ROIの計算式と、ROASとの分かれ目

ROI(Return On Investment・投資対効果)は、投資で得た利益を投資額で割った指標です。広告では「ROI=利益÷広告費×100(%)」で計算します。ROASが売上を広告費で割るのに対し、ROIは広告費を引いたあとの利益を広告費で割る。分子が売上か利益か、違いはそれだけですが、判断に与える影響は小さくありません。

もうひとつ実務上の差があります。ROASは媒体の管理画面がコンバージョン値と費用から自動で出してくれますが、ROIの列はどの媒体にもありません。原価は媒体側が持っていない情報だからです。ROIは必ず、運用者が自分で計算してつくる指標になります。

項目 ROAS ROI
計算式 売上÷広告費×100(%) 利益÷広告費×100(%)
分子に入るもの 広告経由の売上 売上から原価などの変動費と広告費を引いた利益
損益分岐の位置 商材の粗利率によって変わる 0%で固定
管理画面での取得 自動で算出される 自分で計算する

ROASが良くてもROIが赤字になる例

粗利率が低い商材では、ROASが300%でもROIはマイナスになります。

規模感を伴う架空の例で確かめます。粗利率25%の日用品ECが、月の広告費40万円で広告経由売上120万円を得たとします。ROASは300%。一方、粗利は30万円なので、広告費40万円を引くと10万円の赤字で、ROIは−25%です。同じROAS 300%でも、粗利率70%のサービスなら粗利84万円・利益44万円でROIは110%になります。ROASの数字だけでは黒字か赤字かを判定できないのは、この構造によります。

広告のROIとは|ROASとの違いと、どちらで判断してよいかが分かれる条件

ROIの計算でつまずく2つの場所

分子の「利益」に、どこまで原価を入れるか

広告の判断に使うROIなら、粗利(売上から変動費を引いた額)で止めるのが扱いやすい方法です。

変動費は原価・決済手数料・送料・梱包資材のように、売れた分だけ増える費用を指します。ここで止める理由は単純で、人件費やツール代のような固定費は広告を増やしても減らしても動かないためです。動かない費用を配分判断の分母に混ぜると、どの媒体に寄せるべきかという問いに対して、媒体と無関係な数字が効いてしまいます。

ただしこれは「粗利ベースのROIが会社の収益性を表す」という意味ではありません。経営が見る投資対効果には固定費が入ります。広告配分のためのROIと、事業の採算を見るROIは別物として、どちらの定義で話しているかを先に決めておく必要があります。売上ROASと粗利ROASのズレを再現計算で追った記事も、同じ分岐を扱っています。

分母の「投資額」に広告費以外を入れるか

媒体ごとの配分を決めたいなら、分母は広告費だけにそろえます。

制作費や運用代行費まで分母に入れると、それ自体は正しい投資対効果でも、媒体間の比較には使えなくなります。動画素材の制作費のように、複数の媒体へ流用される費用は特定の媒体へ割り当てられないからです。分母をそろえない比較は、比較になっていません。

とはいえ、制作費を外したROIは実態より良く見えます。動画制作に数十万円かかる媒体と、既存の画像を使い回せる媒体を並べたとき、前者の数字は制作費のぶんだけ甘くなる。媒体を新しく増やすかどうかを決める場面では、制作費を含めたROIを別に一度出しておくほうが安全です。費用対効果が低い配信を特定する手順も、この見落としを前提に組み立てています。

広告のROIとは|ROASとの違いと、どちらで判断してよいかが分かれる条件

ROIとROASのどちらで判断してよいかが分かれる条件

媒体内の比較と日々の運用に、ROIは要るのか

同じ商材・同じ粗利率の中でキャンペーンを比べるだけなら、ROASのままで判断できます。

理由は、粗利率が共通ならROASの大小とROIの大小が必ず一致するためです。全体に同じ係数を掛けるだけなので、順位は入れ替わりません。日次の入札調整や配信面の取捨選択がこれにあたります。CPAとROASの使い分けを決めるときも、まずこの範囲に収まっているかを見ます。

商材ミックスが違うとき、媒体をまたぐ配分は何で決めるか

粗利率の違う商材が混ざっているなら、ROASで配分を決めると判断を誤ります。

粗利率が媒体ごとに違うということは、ROASに掛かる係数が媒体ごとに違うということです。順位が入れ替わりうるので、ROASの高い媒体に寄せた結果として利益が減ることが起こります。検索広告に定番商品、ディスプレイ広告に高粗利の新商品が偏っているような配信では、珍しい話ではないでしょう。

ここで手間になるのは計算そのものではなく、媒体ごとの広告費と売上を同じ表に並べる作業のほうです。ADmini(アドミニ)は各媒体の数字を1画面に集約し、ピボット集計で商材や期間の軸を後から足せます。粗利率を掛けた列を用意すれば、ROASの順位とROIの順位が入れ替わる媒体をその場で見つけられます。

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まとめ

先に言っておくと、ROIを出したからといって、次にどの媒体へ寄せるべきかが自動で決まるわけではありません。ROIは過去の配分に対する採点であって、次の配分への指示ではない。在庫を早く動かしたい月もあれば、粗利が薄くても新規客の入口として残す媒体もあります。ADmini(アドミニ)で数字をそろえたところで、この種の事情は数字の外に置かれたままです。

まず今週やること。先月分の広告費と広告経由売上を媒体ごとに書き出し、商材の粗利率を一つ掛けてみてください。ROASの順位とROIの順位が入れ替わる媒体があれば、そこが配分を見直す最初の候補です。

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よくある質問

広告のROIとROASはどちらを見ればいいですか?

粗利率が同じ商材の中でキャンペーンを比べるならROASで足ります。粗利率の違う商材が混ざっていたり、媒体をまたいで予算配分を決めたりする場面ではROIを使います。粗利率が共通ならROASとROIの順位は一致し、違えば入れ替わりうるためです。日々の運用はROAS、月次の配分見直しはROI、という分け方が実務では扱いやすくなります。

広告のROIの計算式を教えてください。

ROI=利益÷広告費×100(%)です。利益は「広告経由の売上−原価などの変動費−広告費」で求めます。広告費40万円で売上120万円、粗利率25%なら、粗利30万円から広告費40万円を引いて−10万円となり、ROIは−25%です。ROIが0%なら損益分岐、プラスなら利益が出ている状態を指します。

ROIは広告の管理画面で確認できますか?

確認できません。Google広告やMeta広告の管理画面に出るのはROAS(コンバージョン値÷費用)までで、ROIの列はありません。原価は媒体が持っていない情報だからです。ROIを使うには、管理画面から広告費と売上を書き出し、自社の原価や粗利率を掛けて自分で計算する必要があります。

ROIの計算に人件費やツール代も入れるべきですか?

目的によって変わります。媒体ごとの予算配分を決めるためのROIなら、分母は広告費だけにし、変動費までを引いた粗利で計算するほうが扱いやすくなります。固定費は広告の増減で動かないため、配分の判断には効かないからです。事業として広告投資が見合っているかを見る場合は、人件費やツール代を含めたROIを別に出します。